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2006.03.08

Donald Fagen:MP3.comでのインタビュー記事-2

前回のエントリの続きです。
前回のエントリはこちら
too high: Donald Fagen:MP3.comでのインタビュー記事-1

原文はこちら
Interview with Donald Fagen
http://www.mp3.com/stories/3491.html
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~~前回から続く~~

Chris: そして、既にこたえてくれたのかも知れませんが、なぜあなたが今の音楽のトレンドに対して意識的に耳をふさいでいるのでしょうか?

Donald: それは単純に自分には必要ないからだよ。なぜならこの30年間何も新しいことは生まれていないと考えているからだ。

Chris: 本当に?

Donald: まあ..本当にまったく新しいモノが生まれてないわけじゃないけど。世の中にはいろんな[ジャンルの]名前が付けられた音楽があるけど、せいぜいドラムの替わりに、ドラムマシンを使っているぐらいでほとんど違いはない。進化と言うにはほど遠いものだ。
70年代初めにレゲエミュージックが生まれて以来大きな変化はないと思うね。レゲエミュージックは、本当にそれまでの音楽とは違うものだった。

Chris: ということは、ラップミュージックは新しいものだとは認めないと言うことですか?

Donald: う~ん。むしろラップはその見せ方というか、詩に音楽がついているものというか..どっちにしても新しいものではないよ。それにリズムは基本的にはファンクのようなもので、機械で演奏されている。だから、新しい音楽とは聞こえないね。
だいたいラップミュージックのどこに新しさがある?

Chris: う~ん....

Donald:ラップミュージックは、音楽の一部分を取り出すためにサンプリングの技術を使っている。例えば、オーケストラヒットだとか。そしてそのオーケストラヒットがものすごい速さで使われたりする。実際本物のオーケストラではあのように速いオーケストラヒットは演奏できないだろう。でも、それが重大な変化だとは思えない。

Chris: サンプリングには現実的な妥当性はないと考えていますか?
[すみません、ここウマク訳せません]
> So no real validity to the art of sampling, in your opinion?

Donald: うん、基本的にみんな缶詰された音に聞こえるね。
ドラムマシンやシーケンサーをバラードの曲にさえ使うようになって、みんなこれに慣れてしまっている。
でも私にはキックドラムが間違ったところから聞こえてくるように感じたり、サウンドがおかしく聞こえる。グルーブ自体がなんだかオカシイ。だんだん本物のグルーブのマネが上手くなってはいるけど。でも、私にはいつも同じサウンドに聞こえるし、催眠術のようだし、ダイナミクスもないし、何の具体的な形もない。

さらに、機械の話をすればシンセサイザーとかキーボードなどを使って音楽を作っている。でも、それらはいつもチューニングがオカシイ。それは、チューナーを使って調べてもそうだし、自分の耳で聴いてもやっぱりオカシイ。
高音域はちょっとフラットしていて、低音域はちょっとシャープしている。なぜならキーボードはいわゆるストレッチチューニングが行われていないからだ。
調律師がピアノを調律するときはストレッチチューニングを行う。
だから、今の音楽にはグルーブもないしチューニングもオカシイんだよ。

Chris: 仕事でも最近のシンセサイザーを使っていないのですか?

Donald: シンセサイザーは、たまに使っている。ホントに特別の状況の時だけだ。音程の狂ったシンセサイザーを使うのには耐えられないので、ふだんはローズピアノ-これはチューニング可能だ-あとはウーリッツァーピアノなどを使っている。

Chris: レコーディングではどうですか?現在のレコーディングの機器を取り入れているのですか?

Donald: うん、例えばプロツールズを使っているよ。こういうデジタルテクノロジーはとても便利だ。簡単にしかも速く操作ができる。

Chris: アルバムMorph The Catはどこでレコーディングされたのですか。

Donald: マンハッタンでほとんどの録音をした。途中で妻とバケーションでハワイに行ったが途中で飽きてしまった。だから、ハワイでスタジオを借りてそこでいくつかのボーカルの録音をしたよ。

Chris: ウォルターベッカーはこのアルバムに参加していますか?

Donald: この作品では参加していないよ

Chris: お二人とも最近はスティリーダンの外で仕事をしていますね。

Donald: うん、時々はね。でも、これ[ソロ活動]はある種の休憩(Break)だよ

Chris: このアルバムのツアーをする予定ですか?

Donald: うん。自分のバンドと一緒に3月ツアーをする予定だ。で、夏にもまたツアーを予定している。たぶん夏の終わりまでツアーを行うだろう。また、ウォルターベッカーと組んでスティリーダンのギグもする予定だ。

Chris: おお!本当ですか!それはとても楽しみです。
あなたのソロのステージに何か目玉はありますか?何かスゴイ演出があるとか?

Donald: そうだね、発煙爆弾かな、まあ一種の....ウソウソ!冗談だよ。スティリーダンで演奏するときは、本当に基本的なものだけだ。
今回のソロのショーは、もっと裸の状態になるかな。スティーリーダンはかなり豪華なステージやライトやスタッフを使っていた。私はもうちょっと経済的にするつもりだよ。

Chris: 興味深いですね。
ちょっとお話ししておきたいことがあります。私は70年代にスティーリーダンを聴きながら育ち、たくさんのアルバムを聴いてきました。母はよくそれらを弾いて聴かせてくれました。でも私が子どもだった頃からあなたはたくさんのアルバムを作っていたと言うことですよね。

Donald: その通りだね。

Chris: そして[レコードの棚の前に]座りレコードをじっくり見ていると、自分は大人になったんだな、と再発見するのです。またあなたの音楽には、現在どんなことが今起きていようと、それをしのぐクオリティがあると思うのです。

Donald: おお、それはうれしいね。ありがとう

Chris: 昔から変わらないクオリティを音楽に与えていると言うことについて、個人的にはどのように考えていますか?

Donald: ちょっとわからないね。それは言葉にするのは難しいな。歌詞に関する限りは、常に我々は正直であろうとしてきたし。年を取っていくというような問題を扱ってきたと思う。自分が若者であるようなふりをしていては、物事は始まらないと考えている。だから若者であり続けようとする必要もない。
ジャズや文学のように大人の考え方は、我々を正直にしてくれる。その一方で、ローリングストーンズはいまだに自分たちが若者だと見せかけ続けている。彼らはもう60代なのに、まだものすごい人気を保ち続けている。なぜなのかよくわからないよ。

Chris: Two Against Natureでグラミー賞も取りましたね。

Donald: この前ローリングストーンズを見たよ。彼らはスゴイね。ミックジャガーは信じられない体型をしている。
彼を見ていると感動させられる。約2時間走り回っているだけじゃなく、走り回りながら、でもその場で立って歌っているように歌っている。ホントに奇跡としか思えない。
<原文こんな感じです>
> not only was he pounding around for two hours, but he seems to sing just
> as well doing that, as if he was standing still, which is quite miraculous.

Chris: 彼らのライブを見たのですか?

Donald: そうだよ、マディソンスクエアガーデンで見た。

Chris: 彼らと友達なのですか?

Donald:いや、キースリチャーズとは何度か会ったことがある。でも、メンバーの誰とも友人ではないね

Chris: 誰とも?

Donald: うん、セレブリティと呼ばれるような人は友人にいないね。

Chris: このミレニアムまで続けてスティリーダンが成功を収め続けているということは、あなたにとって驚きですか?

Donald: うん。グラミー賞を受賞は全く予想していなかったよ。


Chris: ここでMorpht The Catの話題に戻りますが、このアルバムのもっとも重要なテーマはなんですか?

Donald: 「死」だ

Chris: 「死」...

Donald: うん、そうだ。

Chris: そのようなことを常に考えているのですか?

Donald: う~ん、私はいま58歳だ。そうだね「死」ということを考え始めたところだ。まだ長い時間が残されいるが、これから残された時間に何をするべきか?ということが重要だ。
母が少し前に亡くなった。そして、私はニューヨーク人だ。だからあの9月11日の出来事にものすごいショックを受けた。このショックはいまだに、すべてのニューヨーカーにも残っているだろう。
このようなこの街に深く横たわっているパラノイヤ(underlying paranoia)のようなものは、今までなかったものだ。そして、このことは社会を少しだけエロチックにする傾向もある。これは、切迫した壊滅への恐怖への反動だと言えるだろう。

Chris: それは自分自身に?それとも社会一般?

Donald: う~ん..そうだな..両方だね。もし人々がもう長い時間が残されていないとか、戦争の恐怖があるとか、戦争中だったりすると、エロチックになるね。

Chris: それと同じように偏在したパラノイア(omnipresent paranoia)や恐怖が、アメリカ人の心に注入されていると思いますか?

Donald: 確かにそうだね。

Chris:確かに先ほどあなたおが話しされたことは、たくさんの文学のテーマとして取り上げられてますね。

Donald: うん。例えばMilan Kunderaの作品で扱われているね。共産党時代のチェコスロバキアのことを取り上げて「私は少し社会をエロチックにした」と話した。
これは私が話していることとはちょっと違う方法だが、ここには一種並行する何かがあるとおもうよ。

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以上でインタビューが終わりです。

残念ながら発売が伸びてしまいました。いろいろなウェブサイトで視聴できるようになっていますが、CD発売まで我慢しています。...これ以上伸ばさないでくれ...

ドナルド・フェイゲン
ワーナーミュージック・ジャパン (2006/03/29)
モーフ・ザ・キャット

モーフ・ザ・キャット

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