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2006.09.21

読書メモ:英語で読む万葉集

今年の春から母が大学に入学した。「英語の授業で万葉集を読むので、参考書を探して欲しい」と頼まれて見つけたのがこの本。パラパラと眺めるとなかなかおもしろそうなので自分も読んでみる。

万葉集の歌・リービ秀雄氏の英訳・さらにその歌に対するエッセイが付けられている形式。
エッセイでこの歌をどのように訳そうとしたのか、英単語を取捨選択していった過程がその理由と共に丹念に解説されている。

不思議なのが英訳のほうが、その歌の情景が鮮明に浮かんできたり、韻の踏み方がすばらしい歌があること。
もともと日本語で書かれているものが、英語という違う言葉を通すことで数倍理解が進むという不思議な体験ができる。2次元の理解が3次元になり、歌の情景が目に見えるような気がしてくる。

受験勉強時代は古文は好きな科目だったけど、なんとなく万葉集は読みづらかった記憶がある。その答えがなんとなく以下のくだりで分かった気がする。


P53
日本語がはじめて書き言葉になった時代の、その書き言葉の醍醐味なのである。

P92
万葉集の中の一番初期の歌を読んでいると、質素なようで何とも言えない響きをもった、直接的な表現に出会う。と同時に、日本語がはじめて書きことばとなった時代の、これがその書きことばなのである、~中略~というほとんど考古学的なスリルと感動をおぼえることがある。

まさに万葉集は「日本語がはじめて書き言葉になった時代」の最初期の作品であり、こなれていない表現もあるかもしれないが、逆に万葉集の表現をスリリングなものにしていると言える。このようなことは受験勉強時代に気づくはずもなく、当時の万葉集への苦手意識の原因がここにあったんだとちょっと納得できた。

万葉集を英語で読むと言うことに興味がない人が読んでも、万葉集の理解がさらに深まることは間違いのない一冊だと思う。


以下、気になったところの抜粋です。

110p
枕詞は英語に翻訳できるのか。~中略~
枕詞は、日本語の中でももっとも日本語らしいものであり、古代から贈られた「幸」でもある。現代の日本語の読者にとっても、分かるようで実はよく分からない、呪術の響きをもった、まさに島国の古代に独自のものなのだ。

114p
 「英訳万葉集」がアメリカで出たとき、ある書評で言われた。ひとつの枕詞を読むと、その新鮮さに感動する。しかし、まったく同じ枕詞が、また一首、また一首と使われると、作者の独創性を疑う。五度も六度も同じ表現に出会うと、苛立ちすらおぼえる。ところが、そのひとつの枕詞を百回も読むと、作者一人ひとりの独創性を重んじる近代文学とは違った、歌一首一首を超えた大きな表現の流れに気づき、また違った大きな感動をおぼえると同時に、近代文学とは違った必然性に気づき納得もする、という。

英語で読む万葉集 リービ秀雄 
岩波新書 本体740円

英語でよむ万葉集
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