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2006.10.25

読書メモ:若者殺しの時代 堀井憲一郎

いわゆる「若者市場」「若者文化」という見方はもちろんもう若者ではない人からの視線だ。今の時代は社会の中心に「いつまでも若者のつもり」の人たちが居すわり、「若者」がどこまでも延長されている。
「若者市場」が拡大しているように見えて実をいうと本当の若者はやんわりと殺されて行く構図が見えてくる。

それは明らかに見えているものではないけど、堀井氏はさまざまな(ユニークな)調査を元にそれを明らかにして行く。

特に80年代初期からバブル経済に入っていく時代の記述はとても興味深く読んだ。
個人的な事を書けば、バブル景気は中学から大学にかけての世代だ。
バブル景気と言われても学生には縁のない話だし、高校までは田舎に住んでいたのでさらに景気のいい話には縁がない。やっと社会に出られる頃には、バブルが無惨にはじけた就職氷河期。
なんだか周りがものすごく浮かれていたのは覚えているけど、実感としては何もわからない。唯一覚えているのはクリーニング屋のおじさんがNTT株でバカみたいにもうけて、ある日突然セルシオに乗っていた事ぐらいだ。
そんな時代でどんなことが起こっていたのか知るだけでもこの本はオモシロイと思う。

この本は「週刊文春」の「ホリイのずんずん調査」から再構成したということだ。一見なんの関係を持たないような調査が有機的に結びつけられていて、その洞察力は見事だと思う。

と書いて来て、本文の最後はこう終わる

194p
すきあらば、逃げろ。一緒に沈むな。
うまく、逃げ切ってくくれ。

堀井氏は最後に「逃げて欲しい」と説く...これはなんだか理解できない。
これってオチなのかな..何を意図したんだろう。
「逃げろ」といわれれば浅田彰の逃走論ぐらいしか連想できないが...

以下、気になったところの引用です。

5p でもその後、ある時期を境に「若者であることは別に得でない」という時代になってしまったのだ。~中略~  困ったことに、上の世代はそれに気づいていない・ 「考えると、若者の時はよかったなあ」と考えてる世代が、いまの日本の上のほうにどーんと存在している。~中略~上から「若いんだから」という言葉が出るたびに、(ほんとにもう、少しは考えろよ)と心の中でひたすら嘆息している連中であふれているのだ。若い連中は、黙ってる。やんわりとだが若者は殺されてゆく。

152p
たとえば。
自分のお誕生日に、いったいいくつのメールが来たか。そのメールの数で「今存在する世界の中で、あなたの誕生日を覚えていて、祝ってくれる気持ちのあったすべての人の数」示されるのだ。逃げようがない。~中略~
いつどこでも、すべての所につながる可能性があるというのは、身も蓋もなさすぎる。あまりに直截的すぎて、携帯電話は実は人と人とのコミュニケーションにはさほど適していないのだ。そのため、今や携帯は電話ではなく、メールのやりとりが主体になってしまっている。
便利にはなった。しかし人間関係が豊かになったわけではない。

133p
若者を許しておいてやろう、というおとながいなくなってしまった。それは、戦後生まれの世代とそのあとの世代が、まったくおとなになろうとはせず、いつまでたっても自分たちが若者のつもりだからである。上の世代がおとなになって、おとなを演じてくれなければ、10代や20代の若者は、若者にさえなれないのだ。若者にとってつまらない時代がやってきた。若者がおとな社会にとびこむには、札束で頬を叩き、ルールを無視して実績を作っていくライブドア的手法しか見出されなくなった。若者がゆっくりと殺され始めたのだ。


若者殺しの時代
若者殺しの時代
posted with amazlet on 06.10.24
堀井 憲一郎
講談社

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Tracked on 2006.11.04 at 09:20

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